2024.10.03 令和5年度決算 第1分科会(交通局)にて質疑を行いました。
2024.10.03 令和5年度決算 第1分科会(交通局)にて質疑を行いました。
◆エコファミリー制度について
◆時間外勤務の縮減について
◆地下鉄運転士の待機時間について
◆市バスの路線別営業成績について
1.エコファミリー制度について
エコファミリー制度は、今まで土日祝日、夏休み、年末年に利用できたが、10月からは365日使えるように拡大し、サービス向上に努めるとのプレスリリースもしている。
https://www.city.kobe.lg.jp/a89954/825092286299.html#:~:text=%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE
10月から制度が拡充されるにあたり、対象のバスには料金支払いの場所や地下鉄には自動改札機に分かりやすく、「同伴する大人1人につき、小学生2人まで無料!」とステッカー等で更なる周知をしてはどうか?
【答弁】
・エコファミリー制度の広報は重要。
・運用について、市バス運転士は停車中も安全確認等に注意を払う必要があること、大人とこどもの関係やこどもの年齢を見極めることが難しいことなどから、エコファミリー制度の要綱により、申告による利用としている。
・「エコファミリー制度ご利用者はお声がけください」と365日化を踏まえ、より分かりやすい表示に変更しようと考えている。
2.時間外勤務の縮減について
交通局の状況は厳しい状況であり、民間企業であれば、とっくに倒産している状態である。こうした中、交通局も体質を変えていくしかないと強く思っている。
半年前の予算市会においても、交通局審査の中で時間外勤務については質疑したところだが、その際、令和5年4月の時間外勤務の平均として、市バス運転士:27.9時間
地下鉄運転士:33.2時間
との答弁があった。
市バスを円滑に運営していくうえで適切な人材配置と労働時間等の適正な労働環境づくりは最低限必要なことだと考える。
これが、令和5年度の4月の数字だったが、令和5年度の1年間を通じた1人あたり平均の時間外勤務時間を、市バス、地下鉄のそれぞれについて伺う。
【答弁】
・市バス運転士:32.5時間
・地下鉄運転士:36.2時間
再質問1.
時間外勤務が多くなるのは、人が足りないからなのか、勤務時間(シフト)の組み方の問題なのか、原因はどこにあるのか。
過去の数値と比べて時間外勤務は削減できているのか。
どの様にと分析しているのか。
【答弁】
・厳しい経営状況ゆえ、総人件費をおさえるために必要数ギリギリの状態で運営しているため、イベントなどの臨時輸送、急な欠員、渋滞やトラブルによりダイヤの大幅な遅れに代走対応など、追加の業務がある場合は時間外勤務対応となる。
・欠員について、バスは令和3年度に20名を超える欠員があったが採用強化で、令和6年度当初は一桁に減ったところ。地下鉄は令和8年度にワンマン化(西神・山手線)により欠員が解消する見込み。
再質問2.
時間外勤務は1人あたりの平均時間としても多いと感じるが、特定の職員に偏っている状況もあると聞いており、人によっては家でしっかり休めないような労働環境になっているのではないかと危惧している。
この点については、予算市会の時にも申し上げたところであり、令和6年7月1日に行われた「神戸交通労働組合」との交渉の中でも、
「多大な時間外勤務の見直しや職場環境の改善、健康管理体制の強化を行う」と交通局は発言しているなか、時間外勤務の縮減に対して、どのようなビジョンを持って、どう具体的に減らしていくのか、考えを伺う。
(パワーポイントを利用し教育委員会 教員の時間外勤務と比較し質疑)
【答弁】
・総量の縮減と偏りの解消が重要。
・総量の縮減に向けては、欠員解消のほか、バスであれば、営業所間での調整、地下鉄であれば待機時間の縮減に向けた仕業(シフト)の見直しなど。
・偏りの解消に向けては、欠員を埋めるための公休出勤において偏りでないような運用などに取り組む。
再質問3.
こちらも前回の予算市会で触れた内容になるが、
市バスと地下鉄の運転士の初任給は15~16万円という水準であり、これに時間外勤務手当やその他の手当を加えて給与となるわけだが、時間外勤務縮減あるいは平準化を進めることで、手取りの給与金額が減少することにより、生活に支障が出てくる職員が出てくる可能性がある。
先日行われた行財政局の分科会の答弁では、「人材確保の観点等から、初任給を初めとする若年層に重点を置いた改定を行う必要がある」という答弁があった。
給与を上げるのならば、当然、職員1人1人の生産性を上げていく観点も必要だが、この点について、交通局はどう考えているのか、見解を伺いたい。
【答弁】
・交通局(公営企業)は、神戸市の給料表に準じているが、厳しい経営状況を鑑み、独自に10%カット中。
・給与水準は、バス運転士が7都市中4位、地下鉄運行人員は7都市中3位でいずれも中位程度。
・神戸市の給料表が改定されるであろうことを受けて、交通局も準用したい。
・給与処遇だけではなく、役割を果たした職員が報われる制度構築を取り組む。
〈 参考 〉
○運転統括所の事務:
いわゆる「乗務助役」と呼ばれる職員で、乗務員の労務管理、点呼、添乗指導などの仕事、運転士の管理職的な位置づけ。
○駅務統括所の事務:
いわゆる「駅務助役」と呼ばれる職員で、駅窓口や構内での仕事。
お客様対応は駅掌と同じだdが、その責任者としての役割、また、金銭管理の責任を駅務助役が担当しており、終電後の出入口の施錠なども駅務助役しかできないことになっている。
3.地下鉄運転士の待機時間について
こちらも、以前から待機時間の縮減について質疑をしてきたもので、時間の縮減とそれによる費用面の効果について、前回の予算市会で答弁があったところである。
あわせて、待機時間は、休憩時間ではない勤務時間であることから、次の乗務のためのリフレッシュは一定時間必要であるものの、報告書を作成する仕組みを導入し、待機時間における取組みに関しては、この6月から導入されていると聞く。
取り組むこと自体で1歩前には進んだと感じる一方で、その報告書の内容をみると、中身のない記入が多い、交通局としてこの様な報告書の中身をみて、どのように感じているのか伺いたい。
【答弁】
・以前は、待機時間が勤務時間との意識付けができておらず、乗務報告書を導入し改善に努めてきた。
・報告書の記載については、具体性に欠けるものもある。
・繰り返し報告書の趣旨を説明し、全体レベルをあげる。
・一方、繰り返し、待機時間に作業手順の閲覧を行っていることで、技術・質の向上が見られ、ヒューマンエラーは減少傾向にあり、報告書導入に効果・安全運行への寄与があった。
再質問1.
この報告書では、ただ単にこなしているだけのように感じる。
6月からスタートして、約4ヶ月しか経っていないのにこの状況であり、既に形骸化していると言わざるを得ない。
乗務員がどういう意識でこの報告書を書いているのか、管理職は何をチェックしているのか、など疑問しかなく、「報告書を書いた」という既成事実をつくるだけなら、やる必要はない。
以前は、スマホやテレビを観て待機時間を過ごしていた状況があったところ、勤務時間中の労務管理の観点から報告書の内容で参考にできるものがあるならばバス事業部へ共有すべきである。
現状の運用を改めて、意味のある仕組みにすることで、適正な労務管理や危機管理、危険防止に役立つと考えるが、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺う。
【答弁】
・ヒヤリハットは減ってきているが、それ以前の「事故の芽」は乗務員同士情報交換がされているので、報告書記載へと指導する
・ヒヤリハットは管理職の会議体で共有しているが、より現場に近い会議体で議論できるしくみを構築したい。
再質問2.
報告内容では、
・休憩時間が極端に短いケース
・休憩時間と待機時間をくっつけて一体的に取得しているケース
が見られる。
乗務員本人がいつ待機時間を取るのかを決めているのか?
もしそうならば、管理職がしっかりシフトを組むべきであると考えるが、見解を伺いたい。
【答弁】
・1日の乗務パターンは3回乗務し、その間に2回の非乗務時間がある。
・2回の非乗務時間の中で60分を休憩時間として割り当て、それ以外は業務時間(次の乗務に向けた準備も含む)としているが、その取り決めが十分に周知されていなかった。
・今後は、乗務パターンの中で明確に休憩時間を定め、非乗務時間内の適正管理をすすめる。
再質問3.
現在、報告書は紙に手書きで書いている・ハンコを押している・ファイリングして大量保管というのは、やり方を考え直していただく必要があるのではないかと思う。
入力、回収、点検、管理などはデジタルに移行し、効率化、合理化を進めるべきと考える。大掛かりなシステムではなく、簡単な管理ソフトも多くあり、多額に費用をかけずともデジタル化は進められると考えるが、見解を伺いたい。
【答弁】
・デジタル化は進めるべき。
・紙でやっているのは、その場での内容確認、指導、助言ができるメリット
・一方で、毎日100枚の報告書が提出され、管理・保管が煩雑。
・現在、デジタル化を検討中で、報告書内容が一定水準を満たしたと認められるタイミングで切り替えるなど時期も検討したい。
4.市バスの路線別営業成績について
路線別営業成績には「営業係数」があり、路線ごとの収支を示している。大事なのは、この数値をどう捉えて、どう収支改善につなげていくのかという点である。
エリアや路線の長さなど浮かび上がってくる課題があった。
赤字路線はそれぞれに課題が異なると思われるが、例えば、赤字路線ごとに目標とする改善数値などは設定しているのか。
【答弁】
・経営面において、営業係数は一つの目安とすべきものであり、最終的な営業係数の目標は100以下を目指して改善に取り組んでいく。
・各路線の目指すべき営業係数の目標値について、そのような視点は考えられる一方、赤字の理由が異なることから、一律で決めることは難しい面もある。
・また、市バス路線は複数の路線がネットワークを形成していることから、個々の路線単体で見直すというより、他路線での補完、需要に応じた新たな路線設定など面的に行い、エリア単位で最適化を図っていくべきと考えている。
・令和5年度決算において、市バス路線全体の営業係数は117と、前年度(123)よりも改善はしているが、100には届いておらず、黒字路線であっても、よりご利用頂きやすい運行形態や需要に応じた便数設定など、工夫の余地はあることから、営業係数をより小さくする努力を重ねていく。
再質問1.
赤字を出しながら、将来にわたって「市民の足」を守り続けるのは厳しい状況であり、必ずしも大型バスだけを走らせ続ける必要はないのではないかと思う。
例えば、大型二種免許でなくても人を運べる方法について考えて見たら良いのではないか。ワンボックス車の導入、オンデマンド交通、ライドシェアなど、運行手法の抜本的な変更を検討してはどうか。
【答弁】
・乗客数によっては、必ずしも大型車両での運行を必要としない場合もあり、1日を通じて最大9名までの路線では他の運行主体も考えられるが、市バスと同水準のサービスをタクシー車両でできるか、などの課題もある。
・営業係数の数値によって他の交通モードを検討するルール作りという点は、様々な発想・柔軟性をもって広く議論されるべき。
・地域にとって最適な移動手段は何か、持続可能性はどうか、事業者としての役割分担はどうであるかといった、極めて大きな課題のご指摘であると受け止め、バスありきではなく、あらゆる可能性を考えていくことを都市局とも連携して議論してみたい。