2024.3.06 神戸市会 令和6年度予算特別委員会 第1分科会(交通局)にて質疑を行いました。

2024.3.06 神戸市会 令和6年度予算特別委員会 第1分科会(交通局)にて質疑を行いました。

質疑内容は下記になります。

1.交通局の今後の取り組みについて
コロナ後に利用率が上がらず、料金の値上げの話が出ているなか、安全対策は勿論だが、経営していく上で絶えず、交通局内部のガバナンス強化、DX推進など経費削減、業務の効率化といった内部の改革を進め、更には利用者のニーズを踏まえ、広告収入など売上をいかに上げていくことも考え、継続的に取り組んでいく必要があると考えるが、交通局の取組みに対する考え方と覚悟を局長に聞きたい。

(答弁)
公営交通事業を担う交通局の役割は、神戸市のまちづくりにおける目指す都市像の実現に向けて、公営交通事業者としての意義・役割を発揮しながら市民の足を確保することであり、そのために持続可能な経営基盤を確立しておく必要がある
安全運行の徹底は交通事業を担う者として大前提。そのうえでサービスの充実、その運営維持に向けた経費削減や増収に努め、それらを含めた経営情報等の情報発信や地域とのコミュニケーション強化など総合的な経営改善策を、この令和6年度予算案では4本柱の経営基盤強化パッケージとしてとりまとめた。
交通局のガバナンス強化について、市バス営業所においては、外部評価のしくみを導入する。経費削減は、市バス営業所体制の再構築をはじめ、地下鉄における抜本的な駅務体制の見直しなど。増収の取り組みとして、(触れていただいた広告で言えば)三宮駅や名谷駅にデジタルサイネージ等の新規設置、その他、須磨営業所跡地や西神車庫用地等の活用など各種施策を推進する
予算案では、これら企業努力の前提で市バス運賃改定をお願いしたいが、交通局としてまずやるべきことを総合的な経営改善策としてまとめたところであり、これを完遂し、公共交通体系の一翼を担い、「市民の足」の確保し続けるため、私が先頭に立ち、現場を含めた交通局の全職員が一丸となって、あらゆる取り組みを強力に推進していく。

2.地下鉄職員の待機時間について
以前、予算特別委員会(令和3年3月)や常任委員会(令和3年6月)で地下鉄職員の待機時間の勤怠管理について質問し、待機時間の見直しをしていくとの話があった。
具体的には、西神・山手線の平日であれば、106分の待機時間から80分程度(約24.5%減)に縮減し、海岸線では、平均94分から61分(約35%減)に縮減、その効果額の概算は約1.2億程度とのことであり、令和3年当時、さらなるシフトと待機時間の見直しも行っていくとの答弁だったが、現在の待機時間削減の状況と削減額、また待機時間の時間の使い方(職員に何をさせているのか)について伺いたい。

(答弁)
以前のご指摘もあり、西神・山手線、海岸線ともに令和3年7月10日に仕業の見直しを実施。
その後、西神・山手線では、さらに令和4年、令和5年のダイヤ改正に伴い仕業の見直しを実施し、待機時間は平成28年比較で約40%削減、令和3年比較で約20%削減が現状。
一方、削減効果(額)は令和3年比較で約7%削減、金額では約500万円。
削減額と待機時間の削減分が比例しない理由:
令和3年見直しでは、待機時間削減で仕業数を減らした効果が大。
以降の見直しでは、

①ホームドア設置に伴い駅停車時間を延ばしたこと、
②谷上車庫休止に伴い出庫回数が増えたこと、この①②の乗務増加時間を
待機時間削減で飲み込むことで、仕業数を増やさないよう対応したため。
待機時間の過ごし方として、時間自体の縮減は図ってきたが、仕業により待機時間が長くなる場合もあるため、休憩場所と待機場所を明確に区別し、待機場所には運輸関係資料や通知、連絡事項を常設し、閲覧できる状態にしている。過ごし方の例は下記のとおり。
・監督者である乗務助役からの聞き取りや指導
・掲示や設置している資料の閲覧や書写
・通常業務や訓練に向けての作業内容の確認
・乗務員同士の職務上必要な情報交換、乗務員間指導
・小集団活動の協議や作業

(再質問1)
現場から聞こえてくる話では、答弁のような待機時間の活動は最初の出勤時に終わるものや長い待機時間の中の短時間で終わる業務、ごく一部で済むような内容であって、待機時間を有効活用しているようには思えない。
待機時間というのは、休憩時間ではなく勤務時間内であり、もちろん緊張感をもって命を預かる職務であるため、その準備として緊張の糸を一旦緩める意味合いがあることは理解するが、その時間があまりに長い、課題や業務が数分で終わり、休憩時間と過ごし方が変わらないという状況に元通りになっているのであれば改善すべきである。
先程の答弁と私が聞いている話を突合すると、本庁の管理する立場として取り組みたいこと、取り組んでいるであろうと考えていることと、現場の実態がずれており、このズレをどう解消していくかがポイントだと感じている。
待機時間を有効活用できていない旨の話を当局へ事前に通告しているが、調査も含め、現状どのように把握しているのか?
これは現場の管理監督責任も問われることであり、現場の管理職によるチェック機能を持たせるためにも、待機時間を有効活用し、管理職のチェックや報告書を出させるなどの仕組を入れてはどうか。

(答弁)
当然、待機時間は勤務時間であり、この時間中の業務は上記内容を指示しているが、履行確認不足など管理監督が不十分であった面もある。
令和6年度には運輸部門の管理体制強化の目的も含めた組織改正を実施予定であり、管理職以外の監督職によるチェック機能を充足させていく。
また、待機時間の過ごし方を適正に管理するため、待機中を含め1日の業務日報を作成し、勤務終了時に監督職に提出させ、それを管理し待機時間の業務の適正化を図る。
実施にあたって、まずは業務内容の簡易報告からはじめ、最終的にはヒヤリハット情報等が収集できるような仕組み作りをしたい。

(再質問2)
待機時間の報告書の内容によって、待機時間における業務時間中の取り組みが見える化されることから、現場の管理手法の1つとしても有効であると考えられ、さらには、頑張った職員が報われるという観点では、その内容や管理体制を人事評価に反映させることも検討してはどうか。

(答弁)
待機中に行った業務も含めた日報を勤務終了時に監督職に提出させることで見える化されることから、人事評価を行う管理職においても、その内容が共有されるものと考えている。
人事評価おいては、頑張った職員が報われるという観点で、待機時間中の業務について、監督者の管理状況も含めて、業績評価の評価事実のひとつとして活用できるものと考えている。

3.市バス車内の広告について
市バスに乗った際、車内が暗く感じる。行政広告ばかりで民間企業の広告は少ないように思う。車内広告の価値を上げることが必要であり、もう少し楽しい内容であったり、色そのものを鮮やかにするなど、目を引くような工夫が必要ではないか。
神戸観光局が東京で神戸の魅力発信のためにJRの1編成をジャックした例もあるが、例えば、近隣他都市の市バスで相互に市政広告を出し合って、双方の魅力を伝えるようなアイデアがあってもいいかと思う。他都市コラボ企画などSNSで発信されるような取り組みを進めるべきと考えるがどうか。

(答弁)
市バスの広告収入は、平成29年度の1.1億円をピークに減少が継続、令和4年度は約8,000万円。
バス広告需要は、車外の市民に訴求できる車体ステッカーへシフトしていることを受け、車体広告の大型化などに取り組んでいきたいと考えている。
一方で、バス車内の中吊広告収入は、平成29年度の1,200万円から令和4年度は約700万円と厳しい状況であり、空き枠を活用して、バス路線の再編や運賃改定、経営状況などの情報発信を検討しており、(ご指摘の点を踏まえて)デザインとして目を引くこと、多くの方に興味を持っていただけることといった視点に持って取り組みたい。
他都市との相互掲出は、過去に市バス車内広告で「横浜市交通局、京都市交通局、京都バス、JR四国」と相互に観光誘客などを実施。他にJR西日本と連携し、京都・大阪・天王寺・三ノ宮・姫路のJR各駅のデジタルサイネージで「三宮・エリア110」のPR事例もあり、今後も交通局広告媒体を活用した観光誘客や施策のPRなどを進めたい。

4.交通局の給与体系について
市バスと地下鉄の運転士の初任給について行財政局に確認したところ、バスの運転士は大卒22歳採用で160,300円、高卒21歳採用で157,900円。一方、地下鉄は駅掌スタートになるが、大卒22歳採用で159,100円、高卒18歳採用で150,300円ということであった。
産労総合研究所によると、2023年度の学歴別の初任給額は、
・大学卒は、218,324円
・高校卒は、179,680円
地域手当があり、給与カットをしているにしても給料水準は低いと思う
休日出勤や毎日の残業が多すぎるため、基本給を減らして残業代や手当で給料が増えている状況であれば、これも問題であり、若い人の傾向として残業代より定時で帰れる、土日やお盆年末年始にも休みがほしいと思うところもあるのではないのか。基本給そのものについて、高すぎる必要はないものの一定の水準を持っておく必要があるのではないか。
給与全体を見た時に時間外手当をはじめとする各種手当の占める割合が結果的に大きくなっていると考えられるが、手当は、本来の業務とは別で働いた分に対して支給されるのであって、本来業務をしっかりやって、しっかり休むといった働き方改革を進めていくことが重要である。
年末年始・祝日は振替休日にならず、時間外労働となり休日出勤が常態化し、働き方改革と正反対化となっているのではないのかと思うが、現在の状況はどうなっているのか?
また、給与の中で時間外勤務手当、休日出勤手当など基本給以外に時間外勤務とその他の手当の占める内容を教えていただきたい。

(答弁)
地方公営企業法第38条で「企業職員の給与は、生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、当該地方公営企業の経営の状況その他の事情を考慮して定めなければならない。」とあり、基本的には、民間企業の給与水準の調査・比較による人事委員会の勧告等に基づき給料表を決定している国や地方公共団体の給料表に準じている。
交通局職員給与も市の給料表に準じ、加えて厳しい経営状況に鑑み10%カットを実施している。
民間企業の初任給と比較すると、交通局の初任給水準が低いことは承知しているが、近年の人事委員会勧告も若年層の給与引き上げに積極的。令和5年度も、最大約1万円の給与の引き上げを実施した。
時間外勤務について、市バス・地下鉄は365日運行するため、運転士の勤務はローテーションのシフトで対応し、年末年始・祝日に勤務が割り当てられた場合は、休日出勤となり時間外勤務として取り扱う。
これに加え、運転士には欠員もあることから、代わりに出勤するための時間外勤務も発生し、令和5年4月の1人あたり平均時間外勤務は、バス運転士で27.9時間、地下鉄運転士で33.2時間。
現状は、時間外勤務が常態化しており、運転士の健康維持管理の観点からも、早期に欠員状況を解消し時間外勤務を縮減するため、積極的な採用に取り組んでいる。
給料・手当の平均支給割合として、時間外手当以外に、地域手当・扶養手当・特殊勤務手当・夜間勤務手当・通勤手当・住居手当があり、令和4年度の1人あたりの月平均支給割合としては、給料(基本給)が約6割、時間外勤務手当が約2割、地域手当が約1割、その他の手当合計が約1割という割合。

5.市バスの運転士不足について
適正な基本給と適正な人員配置と効率化を行うことにより、拘束時間を減らすことができると考えられ、新たな人材確保を行う上でこうした環境整備を進めていく必要があると考えている。
人材の有効的な活用として、市バス運転士の勤務シフトについては、各営業所単位で組まれていると思うが、営業所を横断した勤務体制を組むことで、融通をできる人の数も増え、休日出勤を減らす、あるいは時間外勤務を減らすといったことにつながると考える。
また営業所間の異動も定期的に行う必要があり、営業所間の人員の共有を行うなど、組織運営上も良い効果が出ることを踏まえると、営業所横断での勤務シフトを組むしくみを検討されてはどうか?

(答弁)
交通局直営の営業所は石屋川、中央、垂水の3営業所あり、各営業所に神戸市交通局の運転士として所属し担当する路線系統の運行にあたっている。
運転士は所属する営業所が担当する路線系統について、走行条件を前もって熟知しておく必要があること、運転士の執務状況、健康状態や資質の管理を、所属営業所ベースとして行わなければならないことから、同じ路線を担当するなど、業務内容が共通している中央営業所と北町操車場間での横断的な運行体制は組んでいるものの、日常的に営業所間を移動しながら執務する体制を組むことは課題が多いと考える。
一方で「休日出勤を減らす」「時間外勤務を減らす」など効率的な運営は重要な観点であり、現在行っている対応として営業所ごとの担当路線を人員状況に応じて再配置するほか、令和6年4月から2系統について、中央営業所、中央南営業所で担当していたものを、早朝・深夜時間帯は阪急六甲から近い石屋川営業所で一部担当するなど、回送運行の削減に新たに取り組む。