王子公園再整備 大学誘致について

王子公園再整備に関して、神戸市は一貫して公園内に大学の誘致することを続けています。これに対して、都市公園を敷地を減らす、スポーツ施設の廃止や縮小・移転、立体駐車場の建設をしてまでも大学を誘致することへの反対意見が多くあります。(動物園の議論もあります)

神戸市は王子公園に3500人規模の大学を誘致することによって、「市域全体の経済効果」として、直接効果が90億円、総合効果が135億円という内容の資料(添付)を作成し、数回行われている市民意見交換会でも、この資料を使い王子公園には大学が必要だという説明を行っています。
この数字の根拠ですが、公益財団法人 神戸都市問題研究所「市内立地大学等が神戸市域に及ぼす経済波及効果分析」の引用によって経済効果額が出されております。
(P60〜)
しかしながら、上記のデータは平成25年度の調査分析に基づく試算であり、「平成24年度学生生活調査」、「平成17年建設部門分析用産業関連表」、「平成17年神戸市産業連関表の民間消費支出」などデータが引用されていますが、データの古さ・インターネットの普及やコロナ感染により生活様式も大きく変わりました。
そのことにより、当時のデータがそのまま当てはまらない点があると私は思っておりますし、単純に70,837名を3,500名で割った数値は根拠に乏しいかと思います。
また、神戸市内の他の大学の規模を見てみると、例えば
・甲南大学の学生数(2020年5月現在) 8,693名
・神戸大学の学生数(2020年5月現在) 11,521名
であり、王子公園内に誘致予定の規模は、約3.5haの敷地に最大で3,500名の学生規模となるため、大学本体が来るのではなく学部の一部等が来る可能性が高いと私は思っております。上記の大学と比べると学生数も敷地の大きさも規模が違います。そのため、「市内立地大学等が神戸市域に及ぼす経済波及効果分析」の資料P67にある宿泊費(表3)まで見込めるか、税収効果の市民税についてなども疑問です。
そもそも、神戸市の説明通り、これだけ経済効果を生み出すのであれば、この王子公園の場所に大学を誘致する必要はないと思いますし、例えば、赤字続きの海岸線沿線に誘致することにより交通機関の利用やハーバーランドや沿線沿いでの経済効果を考えれるのではないでしょうか?
敷地の広さ・学生数・施設に関して、もっと広い規模で大学を誘致した方が、経済効果は上がるのではないかと私は思います。
 維新の会派からは、経済効果額のデータの再検証、神戸市内で過去に大学が誘致されたところが果たして、どれ位の経済効果や地域の活性に貢献しているのか、リアルなデータを調査するべきであるという観点から7月22日の総務財政委員会で企画調整局に対して下記の質疑と要望を行いました。
・経済効果試算については、昨今のコロナ状況下(+平成25年度の調査分析でデータが古い)では消費動向も変化していることから再度の試算が必要と考えるが。
・学生の地元定着率などの、定着人口、関係人口の調査を含めてのデータを示すべきと考えるが。
・大学生の社会地域貢献、地域活動の参加やリカレント教育などを地域利益に試算するべきと考えるが。