「未来都市創造に関する特別委員会」が開催され参考人招致を行いました。

「未来都市創造に関する特別委員会」にてWHO神戸センター 医官 芽野龍馬氏からお話を伺いました。

「新しい三宮に推奨される新しいコンセプト~感染症対策の視点から~」

〈新型コロナウイルスについて〉

・ワクチンと治療法の開発

45のワクチン候補が臨床試験段階、156のワクチン候補が前臨床試験段階

・グローバル時代の感染症対策

絶え間なく人や物が移動し続ける社会において、感染症を水際だけで止めるのは困難

世界全体の高齢化は進んでいく

 

〈新型コロナウイルス感染症に対する都市の備えと強化〉

・都市の備えの特徴

 都市は人口密度が高く、過密な公共交通機関が発展しており、疾患が拡大するリスクが高い。

 高齢者、基礎疾患を持つ人、貧困層、出稼ぎ労働者や移住者、ホームレスなどの脆弱人口も多く有する。

 多数かつ多様な人々が公衆衛生対策を実践する必要があり、遵守したいと思わせる方法で設計されなければならない。対策の持続可能性が重要。

 経験を文書化し、学び、改善し、エビデンスを蓄積する。再評価を適切に実施し、情報提供する。

・自治体に推奨されること

 多部門連係、社会全体が協力するアプローチづくり

 行政レベルを超えた連携

 現状の危機と脆弱性の把握

 脆弱集団の把握とその公平な保護

 効果的かつ適切な情報伝達手段の検討

 必要不可欠なサービスの継続的な供給

 医療施設における十分な人的物的資源の確保

 ホームレスの減少と人口の移動の把握。

 メンタルヘルス対策の実施。

 エビデンスに基づく対策。対策による負の影響への配慮。

・様々な部門や団体が連携する必要性

 保健、メンタルヘルス、上下水道と衛生、動物の健康

 社会サービス、経済的保護

 商業と経済、交通と輸送

 住居、エネルギー

 教育

 保安

 政治的リーダーシップ

・現状の危機と脆弱性を把握する、脆弱集団を把握し公平に保護する

 疫学情報の正確な把握とそれに基づく図表や地図の作成

 ホームレスや貧困層、出稼ぎ労働者や移住者、高齢者や基礎疾患のある人などの脆弱集団を把握し、これらの人々を援助できるパートナーを特定する。必要な保護処置を検討し、同時に通常の社会サービスを維持する。

 公衆衛生対策の実施によって生じる健康リスク、生活が変わることによる市民への影響、犯罪増加のリスク等についても検討する。

・効率的かつ適切な情報伝達手段を検討する、リスクや危機を共有し、参画を促す

 感染の拡大を防ぐには、対策現場、地域住民による対策の遵守への協力と参画が不可欠である。

 伝統的な伝達手段(広告、チラシ、テレビ、ラジオ、新聞等)に加えて、オンラインやモバイルデバイスからの情報発信を考慮する。科学的な公衆衛生メッセージを、メディア、地域のネットワーク、影響力のある人を通じて、効果的かつ適切に伝達する。

 長期の自宅待機要請を遵守するのは困難で、精神衛生にも影響する。食料供給、経済的保護などを特に脆弱集団に検討し、彼らに対する差別や偏見と闘う。

・情報共有と脆弱人口へのサポート等に関する各国の例

 首相による4公用語での定期的情報発信(シンガポール)

 宗教指導者と地方自治体が連携した情報発信(ケニア)

 高齢者への公的食品宅配サービス(トルコ)

 貧困層、低所得者への食糧供給(チュニス)

 低価格食品や料理の生産・配達サービス(インド)

 症状の自己申告をした人に市が積極的に介入できるウェブサイトの開設(ニューヨーク)

・人と人との距離、手洗い、咳エチケットを都市においてどう確保・遵守するか

 距離を確保できる安全な住居を持たない人々に対する一時的な宿泊施設の提供、住宅ローンの支払い猶予、光熱費の停止などの措置の検討。

 自転車や徒歩による移動を推奨(運動不足の解消にも有用):駐輪場の整備、狭い車道を歩行者専用道路に転用するなどの対策を検討。

 手洗いや手指の消毒をしやすい環境をつくり、手洗いにかんする教育と啓発を促進する。

・対策の徹底と経済活動のバランスをとる

 飲食業での雇用消失を防ぐことは食品産業や農業を守ることにつながる。

 インターネットで企業と消費者を結ぶサポートを検討する。

 完全な封鎖ではなく、人と人との距離を確保しながら運営できる仕組みを検討する(地面の目印や歩く方向の制限)。大規模集会は延期や変更、分散しての集まりも検討する。

・距離、手洗い等の対策等に関する各国の例

 最小限の水量で除菌できる抗菌布の配布、節水型の蛇口、低コストの石鹸の利用(エチオピア、ケニア)

 街路に手洗い用の流し台を設置(ブラジル)

 1台のバスに乗れる乗客数の削減、後部ドアからの乗車のみ許可(ラトビア)

 自動車用道路を封鎖して徒歩と自転車スペースを拡大(コロンビア)

 パンデミックの影響による生活困窮者への特別支援(モロッコ)

 宿泊施設を貧困層やホームレス等に提供(スぺイン)

・医療サービスへのアクセスと必須サービスの継続

 救急医療や外科手術、お産等の必須の医療サービス、薬物・アルコール対策、予防接種、公共交通機関、エネルギー供給、住居や設備の修理、通信、上下水、ごみ処理などのサービスが危機下でも安定して供給できるようにする。

 かかりつけ医療サービスの維持、遠隔医療の導入、医療施設間での適切な患者輸送、個人防護具の十分な供給、医療従事者の保護と十分な人材確保などが重要。

・サービス継続に関する各国の例

 資源の少ない機関等に対する支援(パキスタン)

 スタジアムの隔離施設への転用(インド)

 スケート場を死体安置所に転用(スペイン)

 コンベンションセンターの病院への転用(イギリス)

 医学生の卒業年度を早める(イタリア)

 ドライブスルー型の検査施設導入(アメリカ)

〈新型コロナウイルス感染症の都市対応チェック項目〉

・計画と準備

・リスクコミュニケーションと市民参画

・公衆衛生対策

・保健医療サービスの維持と必須サービスの継続

Be SAFE

できることは地味な心掛けを続けること

Be SMART

正確な情報を入手すること

Be KIND

人と人とが支えあうこと